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東京高等裁判所 昭和34年(ネ)320号 判決

第三二〇号事件控訴人・第三二六号事件被控訴人 原告 平塚孫一郎

訴訟代理人 水島庄平

第三二〇号事件被控訴人・第三二六号事件控訴人 被告 不二コロンバン株式会社 代表者 小倉誠

訴訟代理人 大高三千助 外五名

主文

第三二〇号事件および第三二六号事件につき、原判決を次のとおり変更する。

第三二〇号事件被控訴人(第三二六号事件控訴人、以下第一審被告という)は第三二〇号事件控訴人(第三二六号事件被控訴人、以下第一審原告という)に対し、別紙目録記載の建物を明渡し、かつ、金一、四五六、〇〇六円と、昭和三一年一〇月六日から右建物明渡済みに至るまで一カ月金二〇八、〇五〇円の割合による金員とを支払うべし。

第一審原告のその余の請求を棄却する。

訴訟費用は第一、二審とも全部第一審被告の負担とする。

この判決は、金員の支払いを命ずる部分にかぎり、第一審原告が金二、五〇〇、〇〇〇円の担保を供するときは、仮りに執行することができる。

事実

第一審原告訴訟代理人は、第三二〇号事件につき、「原判決中第一審原告敗訴の部分(ただし、家屋賃料の支払請求に関する部分を除く)を取り消す。第一審被告は第一審原告に対し、別紙目録の建物を明渡し、かつ、昭和三一年一〇月六日から右建物明渡済みに至るまで一カ月金二〇八、〇五〇円の割合による金員を支払うべし。訴訟費用は第一、二審とも第一審被告の負担とする。」との判決および担保を条件とする仮執行の宣言を、第三二六号事件につき控訴棄却の判決を求め、第一審被告訴訟代理人は、第三二〇号事件につき控訴棄却の判決を、第三二六号事件につき、「原判決中第一審被告敗訴の部分を取り消す。第一審原告の請求を棄却する。訴訟費用は第一、二審とも第一審原告の負担とする。」との判決を求めた。

当事者双方の事実上の陳述および証拠の関係は、左記のほかは、原判決の事実の部に書いてあるとおりである。

一、第一審原告訴訟代理人は次のとおり述べた。

仮りに従来主張している昭和三一年九月二一日到達の書面による賃貸借契約解除(以下第一の解除という)にもとづく請求が認容されないとしても、第一審原告は第一審被告に対し、昭和三五年六月一三日到達の内容証明郵便で、昭和二九年四月一日から昭和三五年五月三一日まで一カ月二〇八、〇五〇円の割合による延滞賃料合計一五、三九五、七〇〇円を昭和三五年六月三〇日までに支払うべく、これに応じない場合には同日かぎり賃貸借契約を解除する旨の催告および停止条件付契約解除の意思表示をしたところ、第一審被告は催告期間内に催告にかかる金員を支払わなかつたので、本件賃貸借契約は昭和三五年六月三〇日の経過とともに解除(以下第二の解除という)によつて終了した。よつて、第一審原告は第一審被告に対し、本件建物の明渡しと、昭和三一年一〇月六日から昭和三五年六月三〇日まで一カ月二〇八、〇五〇円の割合による延滞賃料、同年七月一日から右建物明渡済みに至るまでの不法占有による同率の損害金の支払いを求める。もつとも、第一審被告は、昭和二九年四月分から昭和三五年五月分までみずから適正賃料であると主張する一カ月五〇、〇〇〇円の割合による金員を逐次供託しているが、それは弁済のための提供をしないで供託したものであるから、弁済の効力を生じない。仮りに弁済の効力が生ずるとしても、債務の一部の履行にとどまるから、これによつて契約解除の効力の発生を阻止することはできない。もともと、第一審原告は、昭和二五年頃から、物価が上るに応じて逐次賃料の増額請求を重ねて前記金額に達したのであつて、突然従来の賃料の数十倍の額への増額を請求したわけではない。第一審被告代表者小倉誠も、その間の事情を十分承知しているのである。また、第一審被告代表者小倉は、永年にわたつて都内銀座、築地方面で、飲食店、喫茶店等を業とする十指に余る会社を経営し、小倉個人またはこれら会社名義でたくさんの不動産を所有していて、不動産の売買価格不動産賃料の値上りの実状には精通しており、さらに、前記催告の日の直前である昭和三五年五月三〇日には、本件当事者間で争われていた別件の家賃請求訴訟の控訴審において、第一審原告の主張するとおりの増額請求を認容のうえ、第一審被告の控訴を棄却する旨の判決の言渡を受けて、その頃までには、客観的に相当な賃料額が第一審原告の主張するところに近いものであることを認識していたはずである。したがつて、第一審被告が履行遅滞の責を免がれようと思えば、第一審原告の催告に応じて、その主張の金額(客観的相当賃料額)を弁済しなければならなかつたのであり、またそうすることができたのである。それにもかかわらず、第一審被告は一カ月わずか五〇、〇〇〇円の割合で供託したにとどまつた。要するに、第一審被告は、たとい訴訟で適正な賃料額が確定したとしてもこれを誠実に支払う考えはなかつたものである。なお、前記家賃請求訴訟の上告審において、昭和三八年五月二四日、第一審被告敗訴の判決が言渡されたので、本件建物の賃料は昭和二九年四月一日から一カ月二〇八、〇五〇円と決定した。

第一審被告が第一審原告に対し、昭和三八年七月五日(前記上告審の判決が言渡された後)その主張する賃料額を弁済のため現実に提供したことは否認する。

以上のとおり述べ、証拠として、甲第三四号証、第三五号証の一、二、第三六、三七号証、第三八号証の一ないし三(ただし、一、二は写をもつて)、同号証の四のイロハ、同号証の五(ただし、写をもつて)第三九ないし第四二号証、第四三号証の一、二、第四四号証の一ないし三、第四五号証の一、二、第四六号証を提供し、乙第一三号証、第一六号証が真正にできたこと、第一四、一五号証につき真正にできた原本が存在することを認めた。

二、第一審被告訴訟代理人は次のとおり述べた。

第一審原告主張の第二の解除の意思表示が、その主張の頃、第一審被告に到達したことは認める。けれども、この第二の解除の意思表示は、第一審原告が第一の解除の主張を維持するかぎりこれとていしよくするものであり、いわば第一の解除の無効であることを条件とするものであるから、無効である。

仮りに右の主張が認められないとしても、以下に述べるとおり、第二の解除の意思表示はその効力を生じない。第一審被告代表者小倉は、第一審原告の主張するとおり銀座、築地方面で数箇の飲食店や喫茶店の営業を主宰しており、相当の広さの土地を所有しているけれども、これまで、本件以外に不動産の賃貸借をした経験はなく、第一審原告から幾度かにわたつて賃料の増額請求を受けたこともなく、また、前記家賃請求訴訟で、従前の一カ月八、〇〇〇円の賃料額の二〇数倍に当る額への増額が、控訴審の判決においても、一挙に認められようとは夢にも思わなかつた。一挙に二〇数倍の額への賃料増額が認容されるということはきわめて異例なことであるから、第一審被告としては、右の判決を受けても、納得することができず、したがつて、催告を受けた当時も、なお、適正家賃額がいくらであるかを認識せず、また、認識できる状況にもなかつたのである。このような場合、催告期間内に催告金額を支払わなかつたという理由で、直ちに契約解除の効力を発生させることは、賃借人に対し不当に苛酷な扱いをすることになつて、許されない。のみならず、第一審被告は、増額請求を受けるまでは遅滞なく賃料を支払つていたし、増額請求を受けるや、みずから適正であると信ずる金額(一カ月五〇、〇〇〇円)の賃料を弁済供託しているのであるから、仮りに、その金額が、後に訴訟で確定した賃料額に達しなかつたからといつて、その不足額の不払いについて履行遅滞の責を負うものでない。なお、第一審被告は、かねがね、本件賃料額が最終的に確定した場合は、直ちに該当金額を支払う旨を表明して誠意を示していたのであるが、前記家賃請求訴訟の上告審で、昭和三八年五月二四日第一審原告主張の増額を認容する趣旨の判決が言渡され、けつきよく、本件建物の昭和二九年四月一日からの賃料は一カ月二〇八、〇五〇円と決定したので、同年七月五日に、第一審原告方で第一審原告に対し、昭和二九年四月一日から昭和三八年六月三〇日まで、一カ月二〇八、〇五〇円の割合による賃料合計二三、〇九三、五五〇円から、すでに供託していた三、七〇〇、〇〇〇円を差引いた金一九、三九三、五五〇円を弁済のため現実に提供したところ、第一審原告はその受領を拒絶した。

以上のとおり述べ、乙第一三ないし第一六号証(ただし、第一四、一五号号証はいずれも写をもつて)を提出し、当審における証人藤井暹の証言を援用し、「甲第三八号証の三、第三九号証、第四三号証の一、二が真正にできたかどうかは知らない。第一審原告が当審で提出したその余の甲号各証が真正にできたこと(甲第三八号証の一、二および五については各真正にできた原本が存在すること)は認める。」と述べた。

理由

一、まず本件建物の賃貸借関係について。

当裁判所も、「乙第一〇号証の記載中第一審被告と不二食品株式会社とが共同賃借人であるとの趣旨の部分は採用することができない。真正にできたことに争いのない甲第三四号証、同第四六号証も、本件建物が第一審被告の単独賃借にかかるものであることを認めるための証拠に加えることができる。」と補足するほか、原判決の理由に説明するとおり(原判決第七丁表の四行目から第九丁裏の末行まで、ただし、同第八丁裏の七行目から八行目にかけて「ヽヽヽ支店の登記もなく、」とあるのを、「ヽヽヽ支店の登記もないこと。」と訂正し、その次に、「乙第九、一〇号証によれば」と挿入する。)本件建物については、第一審原告が昭和二三年九月その所有権を取得して以来第一審原告と第一審被告(そして第一審被告だけ)との間に賃貸借関係が存続するに至つたものと認める。したがつて、第一審被告と不二食品株式会社とが本件建物の共同賃借人であることを前提として、第一審原告が第一審被告のみに対してした家賃の増額請求、延滞賃料の支払催告および契約解除の意思表示の効力を争う第一審被告の主張は理由がない。

二、次に、家賃増額請求の効果について。

地代家賃統制令の改正に伴つて本件建物の家賃に対する統制が解除された昭和二五年七月一一日当時の本件建物の賃料は一カ月八、〇〇〇円であつたこと、第一審原告が第一審被告に対し、昭和二八年四月二日到達の書面で、一カ月の賃料を二〇八、〇五〇円に値上げする旨の意思表示をしたこと、第一審被告が一カ月五〇、〇〇〇円を超える部分の増額は不当であると争つたため、第一審原告は第一審被告を相手取つて、昭和二九年四月一日から昭和三〇年一二月三一日まで前記割合による増額した賃料の支払いを求める家賃請求訴訟を東京地方裁判所に提起し、同裁判所は昭和三一年七月二五日前記家賃増額請求は正当であるとして第一審原告勝訴の判決を言渡したこと、第一審被告がこれを不服として控訴を申立てたところ、東京高等裁判所は、昭和三五年五月三〇日控訴棄却の判決を言渡したこと、第一審被告が右控訴審の判決に対して上告を申立てたが、最高裁判所は昭和三八年五月二四日上告棄却の判決を言渡し、したがつて、本件建物の賃料は、少なくとも昭和二九年四月一日から後は一カ月二〇八、〇五〇円と決定したことは、いずれも当事者間に争いがない。

三、進んで、契約解除の効力について。

第一審原告が第一審被告に対し、昭和三一年九月二一日到達の書面で、昭和二九年四月一日から昭和三一年八月三一日まで一カ月二〇八、〇五〇円の割合で合計五、八七三、四五〇円の延滞賃料を同年一〇月五日までに支払うべく、これに応じない場合には同日かぎり本件賃貸借契約を解除する旨の催告および停止条件付契約解除の意思表示をしたこと、第一審被告が、本件建物の相当賃料額は一カ月五〇、〇〇〇円であるとして、右催告期間内に、昭和二九年四月一日から昭和三一年九月三〇日までの賃料の未払分として一、三〇〇、〇〇〇円を、現実に提供することなく供託したことは、当事者間に争いがない。そして、本件建物の賃料額は、第一審原告の増額請求により、昭和二九年四月一日から後は一カ月二〇八、〇五〇円と確定したことは、さきに説明したとおりである。第一審被告は第一審原告の前記催告に対し、催告期間内に、わずか一カ月五〇、〇〇〇円の割合による賃料しか供託しなかつたのであるから、第一審被告が催告期間内に債務の本旨に従つた履行の提供をしたといえないことは明らかである。けれども、賃料を当事者間の合意で協定した場合とちがつて、本件のように、賃貸人が増額請求をしたが賃借人がこれを争つたため賃料の確定は訴訟の結末にまつ外ないことになつた場合には、客観的に相当な賃料額がいくらであるかは、何人にも明確にはわからないのが普通であるから、このような状況の下で賃貸人に対し、客観的に相当な賃料額をつかんで催告期間内にその提供をすることを期待するのは、多くの場合、むしろ不可能を強いるにひとしいといえよう。したがつて、賃料の増額請求があつた場合には、賃借人が催告を受けた当時すでに増額を承諾していたとか、または当事者間の協定に代わるべき裁判があつたとかいうような事情がないかぎり、賃借人としては、従前の賃料額に、第三者から見てそれほど非常識とは思われない程度の金額を加えたものを賃料として提供するとともに、将来増額すべき金額が決まつてすでに提供した金額では不足であるということになれば、遅滞なく不足分を追加支払うものであるという態度を明らかにしておけば足りるのである。このような場合には、たとい後日、賃借人がさきに提供した額を上廻わる金額が値上相当額として確定したとしても、賃借人は、不足分について催告当時に遡つて履行遅滞の責を負うことにはならず、したがつて、その履行遅滞を前提とする契約解除の効力も生じないと解するのが相当である。

ところで、本件においては、前記家賃請求訴訟事件につき、前記延滞賃料支払催告に先立つ昭和三一年七月二五日に、第一審原告の主張する一カ月二〇八、〇五〇円の増額請求は正当であるとした第一審判決の言渡しがあつたことは当事者間に争いがなく、弁論の全趣旨によると、第一審被告はその頃右判決の趣旨を知つたものと認められ、この認定に反する証拠はない。もつとも、右判決に対し第一審被告が控訴したことは当事者間に争いがなく、催告当時としては、上級審における重ねての判断が残されており、前記金額が値上相当額であることはなお未確定の状態にあつたことはまちがいがない。けれども、いやしくも、賃料増額請求の当否を審理すべき裁判所が、第一審原告の言いぶんは正当であるとの公の判断を下したのである。この判断に明らかな欠点が看取できない限り、裁判を受けた第一審被告としては、さらに上級審の判断に期待をかけるのはそれとして、そのこととは別に、一応は、従来からの主張に偏執がないかをふりかえつて検討し、第一審原告の主張する金額が最終的に相当であると確定するおそれがあることにも思いをいたし、ともかくも右裁判の示した金額と甚だしくちがわない金額を賃料として提供することが社会通念にも合い、また、信義則の要請にもかなうゆえんではないか。右の第一審の判断は、当事者間に争いがないように、のちに控訴審、上告審においてもそのまま是認されたくらいであるから、前記延滞賃料支払催告当時においても、第一審被告がとらわれることなくこれに対したとすれば、むしろ右判断に示された額は値上相当額に近い額であると受けとることができたはずである、とみるのが自然である。第一審被告は、従前の家賃が一拳に二〇数倍の額に増額されたという点を強調して争つているが、家賃の統制が解除された昭和二五年七月一一日以降も物価は上昇の一途をたどつていたことは公知の事実であるところ、本件増額請求以前の一カ月八、〇〇〇円という賃料額は、家賃統制時代の家賃がそのまま据えおかれていたものであることは当事者に争いがなく、乙第六、七号証、真正にできたことに争いのない乙第八号証、甲第一〇号証の二、および弁論の全趣旨によると、第一審原告は、すでに前記統制解除前である昭和二四年当時に、第一審被告に対して本件建物明渡し請求訴訟を提起しており、その訴訟につき、昭和二九年三月に最高裁判所の判決があるまでは家賃増額の交渉に没頭することができなかつたという事情もうかがわれる。これらの事実を合せ考えると、たとい結果的には従前の二十数倍の額への増額ということになつたとしても、本件家賃の増額が第一審被告にとつて予想外の事態であつたろうとみることはできない。それにもかかわらず、さきに説明したとおり、第一審被告は、催告期間内に、第一審被告が前記家賃請求訴訟に応訴中相当賃料額であると主張してきたがとり上げられるに至らなかつた一カ月五〇、〇〇〇円(確定した賃料額の四分の一にも満たない)の割合による賃料を漫然供託したにとどまつたのである(右訴訟の経過の点は、真正にできたことに争いのない甲第一号証によつて明らかであり、また、第一審被告が右供託をしたときの事情は真正にできたことに争いのない甲第三号証と弁論の全趣旨とによつて右のとおり認めることができる。)このような第一審被告の行動はむしろ信義に反するものであり、前記催告期間内に催告にかかる遅滞賃料を支払わなかつたことについては、第一審被告は遅滞の責を免がれることができないものというほかない。したがつてまた、本件賃貸借契約は、催告期間の満了する昭和三一年一〇月五日かぎり解除によつて終了したものといわなければならない。

四、終りに、第一審原告の本訴請求について判断する。

以上説明したとおりであるから、第一審原告は第一審被告に対し、昭和三一年一月一日から同年一〇月五日まで一カ月二〇八、〇五〇円の割合による賃料の支払を求めることができるのである。この期間の未払賃料合計一、九〇六、〇〇六円の本訴請求のうち、原判決において請求が棄却されたが控訴のなかつた四五〇、〇〇〇円の部分を差引いた一、四五六、〇〇六円の部分は正当として認容すべきである。原判決中これと同じ趣旨の部分は相当であり、第一審被告の控訴は棄却を免がれない。

次に、第一審原告がその主張の頃から本件建物を所有していることは第一審原告の認めるところであり、第一審被告が、本件賃貸借契約が解除された昭和三一年一〇月六日当時から引きつづき本件建物を占有していることは、その明らかに争わないところであるから、第一審被告は、右不法占有によつて、第一審原告の建物所有権を侵害し、第一審原告に対し、相当賃料額一カ月二〇八、〇五〇円の割合による損害を与えているものといわなければならない。したがつて、第一審被告に対し、本件建物の明渡しと、昭和三一年一〇月六日から明渡済みに至るまで一カ月二〇八、〇五〇円の割合による損害金の支払いを求める第一審原告の請求もまた、正当である。これらの請求を排斥した原判決は失当として取消しを免がれない。

よつて、民事訴訟法第三八六条、第九六条、第八九条、第九二条但書、第一九六条を適用して、主文のとおり判決する(主文は、第一審原告の控訴を認容し、第一審被告の控訴を棄却することをわかりやすく表現したものである。なお、建物の明渡を命ずる部分には、仮執行の宣言をつけることは適当でないと認めてつけないことにした。)。

(裁判長裁判官 新村義広 裁判官 中田秀慧 裁判官 吉田武夫)

別紙

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